サービスロボットの共同開発事例

株式会社レイトロン失語症者向けリハビリテーションロボット

「失語症者が楽しくリハビリできる未来へ」リハビリテーションロボット

音声認識や画像認識、高速無線通信などの要素技術の研究開発を得意とする株式会社レイトロンが開発したコミュニケーションロボット「Chapit(チャピット)」。利用者の音声を認識し、楽しく会話したり、生活をサポートしてくれるこのロボットをベースに、「失語症者に向けたリハビリテーションロボット」を都産技研と共同で研究開発が行われました。国内50万人にも上る失語症者。失語症とは、脳の言語中枢が何らかの損傷を受けることによって、言語を操る能力に障害が残った状態を言います。「話す・聞く・読む」といった言葉に関する機能に困難が生じ、それは言葉の通じない見知らぬ土地に突然連れてこられた感覚に近いそうです。相手の言葉が分からない。モノの名前が出てこない。自分の言いたいことが言えない。思考が正常なだけにもどかしく、トレーニングも根気を必要とするため、リハビリではモチベーションの維持が大きな課題となっています。今回のロボット開発では、そんな現状を改善するため、楽しみながらリハビリができる環境づくりを目的としています。

製品の概要

失語症や構音障害の方が従来のトレーニングに加えて、あるいはそれと置き換えて使える訓練機能を備えたリハビリテーションロボット「Chapit(チャピット)」
チャピットは、文字や絵の描かれたカードと音声を使ったやりとりで、低下した言語機能を刺激する訓練を提供します。

製品の特長

  • 「聞く」・「話す」・「読む」に関する訓練機能が搭載されており、自主トレーニングの頻度向上を期待しています。
  • ロボットからトレーニングを促すとともに、ゲーム感覚で行える訓練メニューもあり、楽しみながら知らず知らずにリハビリテーションが行えます。
  • リハビリテーションロボットとしての利用が終了した後も自立支援ロボットとして活用頂けます。ロボットと会話が楽しめる「コミュニケーション機能」、テレビ・エアコン・照明などを遠隔で音声操作できる「家電コントロール機能」、食事・入浴・服薬などの時間管理ができる「タイムサポート機能」など様々な日常生活に役立つ便利機能を使うことができます。
想定対象
・失語症:「聞く」「読む」「話す」「書く」という言語機能を司る脳の中枢が障害を受けている状態
・構音障害:舌、顎、唇などの発語発音器官がスムーズに動かすことができず、発声が上手くできない状態
仕様
サイズ:250mm(H)×220mm(W)×180mm(D)
重量:約600g
駆動方法:内蔵バッテリー、ACアダプター
想定価格
未定

開発企業からのメッセージ

「失語症者のリハビリに貢献したい」そんな強い想いから始まった当プロジェクト。リハビリテーション病院と協力し、現場で働く言語聴覚士(失語症者のリハビリを担当する方)からアドバイスを受け、実際のトレーニングに使用できるロボットの開発に取り組んできました。失語症といっても人それぞれ症状は異なるため、実証試験を繰り返し行いながら「どのゲームがどのようなトレーニングになるのか」を吟味し、楽しみながら訓練ができる製品を目指していきました。都産技研様には、特に安全面でのテストに関してご協力をいただきました。「電磁ノイズ耐性」「振動耐久」「温度耐久」など自社では出来ない特別な試験施設で安全テストを行った結果、高い安全性をもった製品を開発することができました。今回、最もこだわったのは、「利用者が望む未来を創造できる」リハビリテーションロボットであること。ひとりでもトレーニングができ、自分の目的に合わせてトレーニングが選べる。患者様が自分の未来を切り開いていくことを支援するロボットとして、少しでも多くの失語症で苦しんでいる方のお役に立てれば幸いです。

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